❅·̩͙62 ページ22
日が変わって、
ポケットに入れた携帯が震えた。
どうぞ、という仕草をした目黒に片手で謝って
相手の名前もろくに見ずに電話に出た。
『(どこいんの)』
今はあまり、聞きたくない声だった。
ぶっきらぼうにそれだけを聞いてきた渡辺の真意が分からない。
何なら今日は戻らなくてもいいと思っていたぐらいだ。
｢…どこでもいいじゃん｣
隣にいる目黒に肩をつつかれて、だれ？と聞かれる。
一瞬耳から携帯を離して画面を見せた。
『(よくねぇよ)』
スマホを持つ私の手に目黒の手が重なって引っ張られる。
目｢しょっぴー、俺いるから大丈夫だよ｣
『(…だからだろうが)』
目｢ふは、珍しく素直笑 もう帰るよ｣
『(まじで変なことすんなよ)』
いたずらっ子のように笑って、何も言わず通話を切った。
目｢ね、変なことってなにかな？｣
｢…知らない｣
携帯をポケットにしまって立ち上がる。
つられたように目黒も立って、潮騒を背中で聞きながら
車に乗り込んだ。
帰る前に私は寄りたいところがある。
白雪のアジトとは逆方向にハンドルを回して
徐々に傾いてく目黒を横目で見ながら
数週間ぶりにその場所へ帰ってきた。
寝息を立てる彼を起こさぬように。
静かに車を出て、暗闇に足を踏み入れる。
見慣れたはずの玄関は、数日誰も立ち入らなかっただけで
別の場所のように見えた。
目的はリビング。
冷たく寂しい廊下を通り抜けて、テーブルに置かれた
謎の作品を手に取る。
毎日見ていたから何も思わなかったけど
よく考えればこれはご飯を食べるテーブルには不向きだ。
毒々しい紫で彩られたどこぞのアート作品。
こんなものが買値で600を超えるのだから
せめて半分は貰えるだろうと期待を込めて、お前を連れてく。
こんな寂しいところにいたってお前の価値は上がんないからね。
律儀にとってあったケースに物を入れて
目黒の寝ている車へ戻った。
気持ちよさそうに寝てる。
…寝顔も随分整ってるらしい。
イケメンって、得だな。
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カジャ(プロフ) - りんごさん» ご愛読ありがとうございます。なかなか進みませんね…精一杯の勇気を振り絞ってあれだったようです笑 楽しんでいただけているなら嬉しいです。 (5月2日 20時) (
レス) @page36 id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お疲れ様です！くっつかへんのか〜ぃの前に、ハグだけか〜ぃ！って海のとこで叫びましたꉂ🤣ワクワクしながら待ってマス！ (5月2日 20時) (レス) @page41 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - すれ違ったふたりが戻ってきて安心しましたーヽ(；▽；)ノ空気感、好きです♡ (4月29日 22時) (レス) @page36 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - りんごさん» 大変申し訳ありません、ご指摘感謝致します。 (4月12日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - カジャ様、ワクワクしながら拝見してます⋆♡もしかしてですが、45と48が抜けております。 (4月12日 13時) (レス) id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年4月11日 19時
