❅·̩͙67 ページ27
本当は言わない方がいいのかもしれない、と
彼女は前置きした。
でも、と続ける。
｢ 翔太くんが幸せになるには、きっとあなたが必要だから ｣
勝手に入ってきて、勝手にラグに座って、
その上更に勝手を重ねて他人の過去を話そうとしてる。
だから太陽みたいなやつとは合わないんだ。
照らさなくていいところまでも照らすから。
｢ 翔太くん、お母さん亡くなってるの。それは聞いた？ ｣
首だけで返事する。
彼女は話を続けた。
渡辺の母は渡辺の父によって命を絶った。
父が、ある大罪を犯したからだ。
ギャンブルにハマった人間は少なからず
その身を破滅させるものも多い。
彼もその1人であり、稼いだ額の半分以上を
禍物の夢に溶かしていた。
家計は母の収入と、家族ぐるみで仲の良かった宮舘家の助けで
何とか成り立っていたが。
ある日を境に怖い人たちが毎日玄関を叩くようになった。
龍ヶ崎事務所、と名乗るその人たちが、金を返せと怒鳴る。
震える声で明日まで待ってくれと言った父。
翌日の父の行動は、全国に報道された。
彼は会社の金を持ち逃げようとしたが
金庫のある社長室にはまだ人がいた。
寄りによって社長と副社長だった。
｢…ちょっと待って｣
｢ 辛いのは分かってる。翔太くんはもう気づいてる ｣
気づいたら目の前の2人も自分の手も赤く染まっていた。
金など、頭から抜けていた。
逃げなければ。
それだけが頭を支配して、当てもなく会社から逃げ出した。
呆気なく捕まった。
母は嘆き、人生を悲観して首を括った。
第一発見者は息子だった。
人生が壊れた。
生きていたって仕方ない。
なぜ自分も連れて行ってくれなかったのかと
毎日毎日泣く少年の傍で、少年と少女もまた一緒に泣いた。
10年前起こった｢株式会社フィズ横領殺人事件｣である。
｢…………嘘だ、嘘でしょ…｣
目眩がする。
吐き気がする。
株式会社フィズ。
父と母が作った会社。
10年前、殺された。
彼女が言ったことが寸分違わず真実なら。
｢ 全部ほんと。あなたにも知る権利があると思って言った。
だから、なにがあなたの幸せになるのか考えて ｣
私の両親を還らぬ人にしたのは
渡辺翔太の…父親。
重い重い鈍器で何度も頭をどつかれるような感覚。
脳も視界もぼやけて、何も考えられなかった。
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カジャ(プロフ) - りんごさん» ご愛読ありがとうございます。なかなか進みませんね…精一杯の勇気を振り絞ってあれだったようです笑 楽しんでいただけているなら嬉しいです。 (5月2日 20時) (
レス) @page36 id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お疲れ様です！くっつかへんのか〜ぃの前に、ハグだけか〜ぃ！って海のとこで叫びましたꉂ🤣ワクワクしながら待ってマス！ (5月2日 20時) (レス) @page41 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - すれ違ったふたりが戻ってきて安心しましたーヽ(；▽；)ノ空気感、好きです♡ (4月29日 22時) (レス) @page36 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - りんごさん» 大変申し訳ありません、ご指摘感謝致します。 (4月12日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - カジャ様、ワクワクしながら拝見してます⋆♡もしかしてですが、45と48が抜けております。 (4月12日 13時) (レス) id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年4月11日 19時
