❅·̩͙69 ページ29
いつまで経っても
テーブルの上に置かれたままの紫は
いつの間にか白雪に溶け込んでいて
元々私に頼ろうとしていない渡辺は
もう絶対にこれをお金に替えることはしないのだろうと思った。
ルーナが帰る日。
彼とだては一緒に空港へ行った。
他のメンバーはいつも通りの平日。
私は、ベッドから起き上がれない。
ラ｢A先輩ー？入るよ？｣
可愛い末っ子がそのデカい背を縮めて入ってくる。
王子様みたいにベッド脇で跪いた。
ラ｢A先輩…起きてるじゃん、ご飯食べよ！｣
｢…ごめん、あんま食欲ないの｣
ラ｢えっ！体調悪い？体温計持ってこよっか、学校休む？｣
あわあわしてる姿が、いつしか動画で見た
ゴールデンレトリバーみたいで可愛くて。
手を伸ばして届いたふわふわの頭をポンポンする。
目をきゅるっとさせたラウールがこちらを向いた。
｢大丈夫。熱はないと思うけど、念の為休むね。皆に言っといて｣
ラ｢分かった！ゆっくりしてて、なんか食べたいのある？｣
｢特にないかな｣
ラ｢じゃあ放課後テキトーに皆で買ってくる！｣
でかい犬が居なくなって、また部屋には静寂が訪れる。
現実から目を背けようと
まだよく働かない頭をそのまま寝かせて微睡んだ。
･
･
･
時計を見ると、11時を少し過ぎていた。
ずっと同じ体勢で居たのか首がゴキゴキだ。
乾いた口を潤したくて下に降りた。
当然誰もいないそこは、すっかり萎れた悪魔の花束だけが
ひっそり佇んでいる。
渡辺を縛る悪魔だ。
どこに居ても何年月日が流れても逃げられない。
一晩寝て、渡辺への感情がどうなるか確かめたかった。
一晩以上寝て、出た答えは変わらなかった。
渡辺を助けたい。
幸いまだ人の心が残ってる私は彼と彼の父は別物だと考えられた。
私と同じぐらいに不幸な顔をした彼を、
一体どんな言葉で
でも、果たして彼もそう考えられるかは分からない。
人生を壊した父親の影を、私を見る度に思い出すかもしれない。
…だからきっと私たちが一緒にいて幸せになれることは無い。
毒々しい紫を手に取る。
代わりに綺麗な銀の雪だるまをそこに置いた。
いきなり去るわけじゃない。
だけど私が白雪でいる期間はもう終わり。
出られる格好になってから
携帯を片手に、アジトを出た。
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カジャ(プロフ) - りんごさん» ご愛読ありがとうございます。なかなか進みませんね…精一杯の勇気を振り絞ってあれだったようです笑 楽しんでいただけているなら嬉しいです。 (5月2日 20時) (
レス) @page36 id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お疲れ様です！くっつかへんのか〜ぃの前に、ハグだけか〜ぃ！って海のとこで叫びましたꉂ🤣ワクワクしながら待ってマス！ (5月2日 20時) (レス) @page41 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - すれ違ったふたりが戻ってきて安心しましたーヽ(；▽；)ノ空気感、好きです♡ (4月29日 22時) (レス) @page36 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - りんごさん» 大変申し訳ありません、ご指摘感謝致します。 (4月12日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - カジャ様、ワクワクしながら拝見してます⋆♡もしかしてですが、45と48が抜けております。 (4月12日 13時) (レス) id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年4月11日 19時
